【コラム】カクタル社長のつれづれ日記 第7回
広瀬 光哉( 株式会社カクタル 代表取締役社長 )
2022年5月9日(月)

成果を上げるための5つのアプローチ

これまで、新人営業時代の心得、3、4年目営業の心構えについて書いてきました。今回はベテラン営業となり、上司・会社から期待される立場になったとき、どうしたら期待に応えて安定した成果を出せるかについて書きたいと思います。

私は安定した営業成績を上げるために、以下の5つのことを自分に課してきました。

  1. 営業はアーティストであれ
  2. 好きな人の心をつかむ方法を考えろ
  3. 営業は案件の映画監督になれ
  4. しゃべり過ぎは厳禁
  5. 部下の面倒を見ろ、一人勝ちするな

1.営業はアーティストであれ

まず、「営業はアーティストであれ」について説明します。売れる営業のマニュアルなどありません。最低限の心構えは第5回、第6回のコラムで書いてきましたが、その通りにすれば売れるという保証はありません。

テリトリーが決まったら、そこは白紙のキャンパスです。自分で下書きをし、色を付けて完成させなければなりません。どんな構成にして、どんな色で埋めていくか、一生懸命考えなければなりません。想像力を旺盛にして、ゼロから作品を作っていく努力は、アーティストも営業も一緒です。「どんな絵にしようか」と考え続ける事が大切です。営業はアーティストであり、自由です。

2.好きな人の心をつかむ方法を考えろ

営業も恋愛も一緒だと思います。好きな人ができたとします。でも、相手は自分のことは見ていないし、好意も持っていない。そんな時、いろいろ作戦を立てますよね。相手の趣味や好きな食べ物を調べる、共通の話題を探すなど、あらゆることを考えて、こちらに向いてもらえるように努力をすると思います。

営業も一緒です。お客様にどうしたらこちらに向いてもらえるか、どうしたら好意を持ってもらえるかを考えて、行動に移すことです。営業に成功するには、好きな人を振り向かせて恋人にするくらいのエネルギーが必要です。その方法を考え尽くすことが成功の秘訣です。男女を問わず、沢山の人を好きになりましょう。

3.営業は案件の映画監督になれ

営業は一人でやるものではありません。会社がバックにあってのミッションです。営業個々のスキルは必要ですが、自信があるからと言ってすべて一人でやろうとするのは、よいことではありません。お客様は営業個人を見ていますが、会社のこともしっかり見ています。

提案ができる場面になったら、登場人物を考えるべきです。この場面ではどういう登場人物を連れていけばベストか? 逆にこの場面ではこの登場人物は連れて行かない方がいいか? 最も効果が上がる登場人物は誰か?

案件ごとに映画監督になったつもりで、ナレーションと登場人物を設定すべきです。これができるのが社内営業力であり、トップセールスの才能でもあると思います。機会損失をしないストーリーを作り上げていく能力も必要です。

4.しゃべり過ぎは仕事では厳禁

ベラベラしゃべる営業がいますが、これは最悪です。逆に、購入する立場でしゃべり過ぎの営業に出会えたら儲けもんで、こちらの思った通りの結果が出せます。

しゃべり過ぎなのは自信がないからでしょう。沈黙が怖いのかもしれません。よく営業同行して指導しましたが、せっかくお客様が課題を言いそうになったときにしゃべり始めたり、何を説明したらツボにはまるか相手の反応を待っているときにむやみに説明し始めたり、「黙っていろ!」と怒鳴りたくなったことが何度もあります。

検討してもらいたくて見積書を出したとき、または契約を迫って契約書を目の前に出したとき、絶対にしゃべってはダメです。沈黙を大事にしたら、必ず相手から何らかの情報が出てきます。それを待つのです。

がまんして待たないと見込みのランクが分かりません。それができなくて、怖くてしゃべってしまう営業は、口に栓をするようにしましょう。

見込みをよく外す営業がいます。たぶんお客様の前でしゃべり過ぎていて、いっぱい聞いてくれたので自己満足し、上位見込みランクと勘違いしてしまうのでしょう。

5.部下の面倒を見ろ、一人勝ちするな

業績が安定し、上司・会社から頼られるようになると管理職も間近でしょう。ここまできたら、先輩社員として模範になるべきです。教えると、自分も勉強します。

「その案件、一緒に行って決めよう」と積極的に言いましょう。同行すると、いいところを見せたくて模範的営業を心がけると思います。案件が決まると、後輩たちも「あんな先輩になりたい」と思ってくれます。そのことが自分の励みとなって 自分も成長できます。

一人勝ちはよくないと思います。営業の世界なのでナンバーワンになりたい気持ちはわかりますが、 ダントツ1位は絶対にどこかで歪みが出ています。

「安定して営業成績上位者であればよい」が私の持論です。これは現役時代の会社のトップも言っていたことで、当時あった「No.1賞」を廃止しました。 多くのナンバーワン営業を見てきた私は、これを正解の施策と思いました。汚いことやルール違反までして成績を上げて、尊敬ではなく周りから軽蔑され、その後の社会人生活に困った人が多数いたからです。

以上、新人からベテラン営業になって信頼されるまでの営業時代を3回に分けて書いてきました。第8回コラムからは、営業専門職を卒業して数人の部下を持つ新米管理職になってからの気付きについて書きたいと思います。

松山城に行ってきました。山の頂上にお城が多数に存在し、昔の人の優秀さに改めて感動。

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