【コラム】三月ウサギのDX談義 第6回
2024年8月5日
「フロッピーディスク使用、ようやく撤廃」のニュース
最近三月ウサギが驚いたネットのニュース記事は、「デジタル庁がフロッピー使用をようやく撤廃」というもの。今年7月、デジタル庁は、行政手続きの記録媒体としてフロッピーディスクの使用を求める規定の撤廃を完了したそうです。
三月ウサギは、「えっ、まだフロッピーディスクが現役だったの?」と思ったのですが、あちこちの記事を読んでみると、「経済産業省は、2023年末までに34の省令でフロッピーディスクなどの表記を廃止」とか、「フロッピーディスクでのデータ保存や提出を求める政府令の規定1034件が全て撤廃された」などの記事がありました。ということは、これまで多くの企業や個人は、省庁への届け出時に、記録媒体としてフロッピーディスクの提出を義務付けられていたわけですね。
新型コロナ流行時に、医療機関から保健所への報告、保健所から厚生労働省への報告にFAXが使われていて、デジタル化の遅れが話題になりました。FAXは電話回線で簡単に送れるので、その利点はイメージできます。しかし、フロッピーディスクの場合、ずいぶん前に使われなくなったと思っていたので、「まだ、買えるの?」「使える機械があるの?」と、頭の中にクエスチョンマークがたくさん浮かびました。
「フロッピー隆盛は何年?」と考え、歴史を振り返る
そもそも、日本人の何歳ぐらいまでがフロッピーディスクを知っているのだろうか?と思い、ウサギ仲間に聞いてみてところ、「80年代生まれなら知っていると思う」という答えが多かったですね。
ここで、私自身のおさらいを兼ねて、コンピュータの記録媒体の歴史を振り返っておきます。
1.紙カード
コンピュータ初期の記録媒体は紙で、紙のカード(パンチカード)や紙テープに穴を開けることでプログラムやデータを記録していていました。
2.磁気テープ
1970年代に利用されるようになったのが磁気テープを使った記録媒体でした。磁気テープは、カセットテープやビデオテープとして、私たちの生活にも浸透しました。
3.フロッピーディスク(FD)
フロッピーディスクは、薄くて柔らかい長方形のプラスチックで覆われた磁気記録媒体です。IBMが世界初のプロッピーディスクを発売。大きさは、8インチ、5.25インチ、3.5インチと小型化していき、3.5インチFDは、ワープロやパソコン用として標準の記録メディアになりました。
三月ウサギは原稿を書くのが仕事なので、ワープロを使い始めた1982年頃から、3.5インチフロッピーディスクを記録媒体として使っていたと思います。保存も持ち運びも簡単、他のワープロ、パソコンにデータが移せるので、「すばらしい発明だ!」と感嘆したのを覚えています。
ソニーが3.5インチフロッピーディスクの生産を終了したのが2011年だそうなので、FD隆盛期は1980、90年代ということになりそうです。
4.光学ディスク
1990年代になると、光学記録媒体が出てきます。レーザー光を使ってデータを読み取る仕組みで、CD、DVDなどがこれに当たります。
5.フラッシュメモリ
2000年以降の記録媒体の主流はUSB、SDカードなどのフラッシュメモリになります。これは半導体を利用した記録媒体で、何度も繰り返し書き込みができ、データの消去も一瞬で行えます。
6.クラウドストレージ
クラウドストレージとは、インターネットを介して利用するファイルの保管場所。パソコンやスマートフォン内の情報はクラウドストレージに転送して保管するのが現在の主流になっていますね。
フロッピーティスク撤廃でオンライン化が進むのか?
フロッピーディスク撤廃の背景には、「申請のオンライン化を進めたい」という意図があるようですが、うまくいくのでしょうか。「政府系のオンライン申請システムは使いにくい」という声もあり、「紙に戻る」と予想する人もいました。
オンラインストレージを利用する場合、クラウド上のデータの安全性も問題になります。ハッキング、個人情報流出のニュースは毎日のようにネットに上がっているので、セキュリティ対策には神経をとがらせる必要があります。
記録媒体の耐久年数も問題です。フラッシュメモリや磁気テープは10年くらい、CD、DVDなどは30年くらい、長期保存用光ディスクは1000年保存できるという記事を読みました。クラウドの場合は、保管場所(ストレージ)がどんどん最新になるのでしょうから、耐久年度の問題はないと言えるのでしょうか。和紙の古文書などを見ると、紙の耐久年度の長さを実感しますが、現代では「記録容量」の問題も大きいですね。
重要書類や長期保存が必要な書類は「紙で記録するのが安心」という考え方もわかる気がします。しかし、DX化の第一歩として「紙書類を電子書類へ」という変換を推し進めてきて、それもまだ「道半ば」なので、記録媒体の適材適所を考えつつ、書類の申請・記録のオンライン化が進むことを願っています。