【コラム】65歳からの挑戦─第二の人生を切り開く起業物語 第3回
広瀬光哉(カクタル代表取締役社長・営業強化コンサルタント)
2025年4月1日

第1回「65歳からの挑戦―第二の人生を切り開く起業物語」、第2回「起業までの道のり」と、これまで起業に至る背景を書いてきました。

第3回となる今回は、いよいよ「起業後の現実」についてお話ししたいと思います。

赤字から始まった最初の一年

会社を立ち上げた最初の決算は、2020年10月期首から2021年9月末までの一年でした。

結果は……
売上 1,512万円、経常利益 ▲571万円

当然ながら赤字決算です。

資本金1,000万円の中からやり繰りして、何とか一年を乗り切ったというのが正直なところでした。
この一年で痛感したのは、起業前に描いていたビジネスモデルの多くが「絵に描いた餅」だったということです。
理想と現実はやはり違う。もっと現実に即したビジネスをしなければ会社は続かない──それを身をもって学んだ一年でした。
ただ一つ救いだったのは、起業前に準備していた月120万円の固定ビジネスです。

とはいえ、この程度では毎月の運転資金を賄うには足りません。結果として赤字決算は当然の帰結でした。

二年目は「営業」に徹する

二年目に入ってから、まず覚悟したことがあります。
Webで新しい仕事が自然に舞い込むことなど、ほぼない。
そう腹をくくりました。
そこで、現役時代の人脈を一つひとつ整理し、固定ビジネスにつながるお客様を探して走り回りました。幸運だったのは、活動を始めると

  • 昔の営業仲間からの紹介
  • かつて取引のあった企業様との再会

など、少しずつビジネスの糸口が生まれてきたことです。
今はWebの時代とはいえ、知名度もなく、特別な商品や技術がない会社が仕事を得るのは簡単ではありません。
結局のところ、自分で動き、自分で営業して仕事をつくるしかない。それが結論でした。
その積み重ねの結果、二年目は売上が倍増し、利益も黒字化。
累積赤字も ▲72万円 まで戻すことができました。

軌道に乗せた「ビジネスパートナー」

三年目からの課題は、見つけたお客様とのビジネスをどう拡大するかでした。
そこで大きな力になってくれたのが、現役時代から一緒に仕事をしてきたビジネスパートナーの企業です。

営業、プロモーション、マーケティング、Web構築、フェアの企画運営……

それぞれの分野のプロフェッショナルが力を貸してくれました。
おかげで、小さな会社でありながらも、一流レベルの提案・施策・実行ができる体制が整いました。
すると、さらに新しいパートナー企業も加わり、会社は少しずつ軌道に乗っていきました。
振り返ると、65歳まで勤めた会社で

  • 多くの経験をさせてもらったこと
  • 人脈を築けたこと
  • 人を大事にしてきたこと

これらが全て、ここで生きてきたのだと強く感じています。
そして2025年9月末、第五期の決算では、売上1億円超で累積黒字も大きく拡大という結果を残すことができました。

もう一人の恩人

起業してからは、経理や会社運営についても多くのことを学びました。
特に大きかったのは、経営についてアドバイスをくれた先輩社長の存在です。実はその方、もともとは私の元部下でした。
今では立派な経営者となり、誠意ある助言をたくさんいただきました。その支えが会社の成長に大きく役立ったことは間違いありません。

起業して分かった二つのこと

ここまでを振り返ると、私なりに二つの教訓があります。

(1)完璧なビジネスモデルは最初から作れない

起業前に「1年後、3年後、5年後の事業計画」を作ることは大切です。しかし実際には、やってみなければ分からないことがほとんどです。大切なのは、

  • まず始めること
  • 現場の肌感覚を信じること
  • 行動を続けること

そして、少しの運を待つことです。

(2)全ては「人との出会い」

会社を一人で大きくすることには限界があります。

共感してくれる仲間、支えてくれるパートナー企業、応援してくれるお客様……

全て人との出会いです。会社経営とは結局のところ、

  • 運を掴む努力を続けること
  • 出会いを大切にすること
  • 人との信頼関係を築くこと

この三つに尽きるのではないかと思います。

70歳、そして第六期へ

現在、私は70歳になり、会社は第六期を迎えています。
これからもしっかり税金を納めながら、お客様企業の発展に誠心誠意尽くしていきたい。
そして起業したときの想い──

「日本の企業を元気にする」

その小さな一助でも担える人生であれば、これ以上の幸せはありません。

経営には健康が一番。桜に開花を待ちわびながら、皇居のまわりを1時間/日歩く努力してます。