【コラム】 トップセールスが教える営業スキルの磨き方・育て方 第5回
広瀬 光哉(カクタル代表取締役社長・営業強化コンサルタント)
2023年1月5日

第4回では、管理職になっての心構えや、注意すべきこと、実行すべきことについて書きました。第5回目は、次の段階である部長・次長クラスになったときの心構えや実行すべきことについて書いていきたいと思います。

顔が見えない部下のマネージメント術を学ぼう

次長職・部長職になって大きく変わるのは、課長職時代と違って、直接部下の顔を見てのマネージメントができなくなることです。自分の下に課長クラスの管理職が配置され、末端のメンバーには直接マネージメントができなくなります。また、多岐に渡る職種のマネージメントをする立場となります。ですから、「直接顔が見えない部下のマネージメント術」を学ぶ必要があります。

1.組織全体の社員満足度を上げることからスタート

数百名の組織には、必ず組織全体の共通課題があります。まずは、それを察知すべきです。他人から聞いては絶対ダメです。それが固定概念になってしまうからです。まずは自ら行動して、自分なりの判断をすべきです。部長にまでなったのですから、自分の感覚や感じたことに自信を持ってください。

男女で課題が違います。営業責任者だけでなく、全職種の人を預かっているのですから、職種別に課題があるかも知れません。遠慮して言えないような不正が存在しているかも知れません。チームとしての情報共有に問題があるかも知れません。まずは課題・問題点をキャッチしましょう。

2.総合力を上げるために、全員参加の会議を数多く実施

1の社員満足度を上げることにもつながりますが、会議や会食を多くやり、公平に意見・要望を吸い上げるべきです。

ここで注意しなければならないのは、公平に実施することです。そして、自分の話はしないこと。何よりも大事なのは、意見・要望を聞いた以上は、少しずつでも解決策を実施していくことです。何もしないと、もう二度と意見など言ってもらえなくなります。ここは強い実行力が必要になると思います。

3.木でなく森をみよう

直接部下を持っていた課長までを「木(部下一人ひとり)を見ていた」と例えるなら、部長クラスは森全体を見る必要があります。視線を広げて、全体を見渡す能力を身につけてください。

森の中には、陽がさんさんと当たっている木もあるし、実力があるのに日の目を見ていない木もあるでしょう。若い木も歳をとった木もあるでしょう。そんな森全体を見渡してマネージメントすべきです。そして、管理職の部下のモチベーションを上げながら 全体ベクトルを上に向けるべきです。目標は当然出しますか、分かりやすい大きなビジョンを掲げて、全体を引っ張るべきです。

4.進捗状況をデータ化して、分かりやすく示そう

目標を明示したら、その進捗を数値化して分かりやすく追えるようにすべきです。抽象的な言葉で鼓舞しても、誰もついて来てくれません。

何が良くて、何が遅れているのか、前年伸長、前々年伸長なども加味しながら数値を共有して、より具体的にマネージメントすべきだと思います。数字は嘘をつきません。突然変異は、まずありません。数字を見ていれば、必ず傾向値と方向は見えます。

5.結果が出る会議運営を行おう

告知・徹底・意見招集などで、部長職が主催する会議が多くなると思いますが、残念な会議運営をよく見かけます。以下に、結果が出る会議運営のコツを書いておきます。

会議時間を明確にし、時間通り終わる

皆の次の予定を組みやすくなります。ダラダラ時間を守らない主催者は信用をなくします。

結論をしっかり出して終わる

ただ意見を出し合うだけで、結論を出さない会議はやるべきではありません。こうした会議を続けると、「どうせ結論は出ない」と考えて、参加意欲が無くなります。

全員参加で、全員が意見を言う運営を

どんな意見でも言える空気作りをしましょう。若い人の意見を潰すような意見は言わせないようにリードしましょう。

会議資料づくりの負担を減らす

会議前にいろいろ指示して、部下が資料づくりや準備に奔走している会議があります。全くのナンセンスです。会議のための会議も見ます。無駄な時間は生産性アップに繋がりません。

部下の管理職の頭越しにマネージメントすると、管理職の立場がなくなるし、管理職が育ちません。では、顔の見えない部下にもしっかりと自分の考えや方針を示して、部隊をより強くするにはどうしたらいいかについて、書いてきました。

部長・次長職での訓練・成功体験は、のちのち貴重な財産となります。 是非このポジションでも自信を付けて、また一つ上を目指していただきたいと思います。

次回は経営に近い地位になったときの心構えについて書きたいと思います。

皇居のお堀にいつもいる白鳥です。
つがいで撮れませんでしたが、毎回ウォーキングしながら癒されます。今年も良い年にしましょう。