【コラム】 トップセールスが教える営業スキルの磨き方・育て方 第4回
広瀬 光哉(カクタル代表取締役社長・営業強化コンサルタント)
2022年12月1日

新規コラム第1回から第3回までは営業職全般に関わる内容について書いてきました。今回の4回目からは管理職としての心構えとやるべきことについて書いていきたいと思います。

第1のミッションは、優秀な部下を多く育てること

管理職の定義を簡単に言うと、まずは部下がいることだと思います。 管理職に任命されて部下を持った時、期待される大きなベクトルは「優秀な部下を数多く育てること」「今までの一人の力から、チームとして大きな成果を出すこと」の 2点に絞られます。

今回は1点目の「優秀な部下を数多く育てる」というミッションを遂行するポイントについて書いていきたいと思います。
管理職になれる人は、個人営業としての成果が良く、会社に貢献してきた人でしょう。個人して成果が出せず、自分自身も管理できない人には管理職の資格はありません。また、満足な成果を出したという成功体験がない人には、部下を育てる能力は少ないと思います。会社としても、個人の成果も出せなかった人に部下は任せられないでしょう。

チームで成果を出すことを考えよう

そこで、優秀な個人営業が陥ることの多い失敗例を紹介します。これは、自分のミッションが個人からチームに変わったことを心から理解できていないために犯してしまう失敗です。「名選手必ずしも名監督にあらず」に通じる例かも知れません。

自分の力に自信があると、管理職になっても個人を捨て切れず、常に「俺が!俺が!」で動いてしまい、それが失敗につながります。管理職になったら、これまでの個人営業の考え方は捨てて、管理職としての心構えを持つ必要があります。

【心構え1】部下の力を借りて成果を出すことを考える

まず、部下の力を借りて、どうしたら 一人でやって来た時の何百倍もの成果を出すことができるかを考えるべきです。
 「チームの成果は部下のお陰、部下の失敗は管理職の責任」という考え方を、早く自分に浸透させるべきです。

【心構え2】部下を育てることを考える

次に、なぜ管理職を任されたのかを考えましょう。それは、「あなたのようにがんばる部下を沢山育ててほしい」と、会社が期待したからです。そして、あなたを「人を育てる能力がある人だ」だと見込んだからです。
数人の部下を預けられた場合、新人からベテラン、優秀な人からまだまだ未熟な人まで、いろいろな人がいるのが当たり前です。自分が思い描く結果や成果が出なくても、焦らず、根気よく人を育てて、全体の底上げを図るべきです。トップセールスがチームに一人いても、全体の底上げを図らないと強いチームにはなりません。強いチームを作るためには多くの人を育てることが必要なのです。

強いチームを作るために管理職がやるべきこと

1.一人ひとりのスキルを把握しよう

管理職になって人を育てていくためには、部下一人ひとりのスキルを把握することが重要です。
それぞれに特徴があります。成果を出せるけどユーザークレームや社内からクレームの多い人。大事な部分の報告が苦手な人。いつも責任転嫁しがちな人。自分のことばかりでチームの事を考えられない人。人には優しいが業績成果を出すことができない人。はっきり意志を伝えるのが苦手な人。物覚えの早い人、遅い人。気分にムラが多く、部下として扱いにくい人。本当にいろいろな人がいます。
チームとして大きなベクトルを共有してもらうとともに、 個別のマネージングは絶対に必要です。それも、根気よくやることが大事です。

2.一人ひとりのモチベーション・やる気度を把握しよう

モチベーションも人それぞれです。お金のためにやっている人。家族を養うためにやっている人。勝ち負けの競争意欲でやっている人。出世欲が強い人。仕事の満足度でやっている人。チーム帰属意識でやっている人。それぞれのモチベーション・やる気にうまく対応してマネージメントすることが大事です。
問題なのは、どれにも当てはまらなく、どうしてもやる気が起きない人のマネージメントです。これは、時間をかけて、多くの会話をして見つけ出すしかありません。お互いの信頼関係を作らない限り、この人のモチベーションをアップさせるのは難しいと思います。同行を多くして仕事以外の会話から見つけ出すのも一手かと思います。

3.スキルとやる気度が把握できたら、部下と目標を共有すべき

それぞれが求める到達点も違います。「全員でチームの売上予算を達成する」という大きなベクトルは共有が必要です。ただし、そこに至るまでの過程では、それぞれの行動目標は違います。
管理職は、部下一人ひとりの行動目標を把握して共有すべきです。たとえ小さい事でも、上司と一緒に達成感を味わっていくと、部下はドンドン成長していきます。

以上、管理職の心構えとマネージメントのやり方について書きました。 次回は、第2のミッションである「今までの一人の力から、チームを任され、数百倍の成果を出すためにはどうしたらよいか」について書いていきたいと思います。

秋の紅葉も終わり、いよいよ冬到来! 事務所から見える富士山も綺麗に冬化粧していました。