【コラム】 トップセールスが教える営業スキルの磨き方・育て方 第1回
広瀬 光哉(カクタル代表取締役社長・営業強化コンサルタント)
2022年9月5日

2021年10月の第1回コラムから2022年8月のコラムまで、10回のコラムを掲載してきました。前半は起業への想い、後半は営業マン・リーダーとしての体験と心構えについて書きました。前半については応援のメッセージをいただき、後半についても数多くの感想をいただきました。

後半の反響の多さを見て、どこの企業も若手の人材教育、社員のモチベーションアップ、 全社員の参加意欲の強化について、多くの課題を抱えているのだと再認識しました。そこで新コラムでは、あらためて「営業と管理職の基本」について書いてみたいと思います。「営業力強化、営業の成長、求められる管理職の姿」の3つのテーマを中心に、私の考えをさらに掘り下げて、わかりやすく紹介していきたいと思います。

営業は、受注とともにユーザーの満足を追求すべき

さて、営業とはどういう仕事でしょうか。
どんなによい商品でも、営業をしなくても売れるということは皆無に近いでしょう。営業とは、自社の商品やサービスを受注することです。
ただし、「受注すればよい」ということではありません。受注した先のユーザーに満足していただいて、笑顔になっていただかなくてはなりません。
受注はしたものの、後からクレームが来るような営業では困ります。クレームは千里を走り、会社や商品・サービスの評判を大きく傷つけます。 クレームになるぐらいなら、受注しない方がよいのです。

ユーザー満足のためにやるべき4つのこと

では、ユーザーに満足していただける営業をするには、どうしたらよいでしょうか。私が「営業の基本中の基本」と考えることを4つお話ししたいと思います。

1.営業に向き不向きはないと信じよう

私は、営業に向き不向きは絶対にないと思っています。面接の場でも、自分は営業に向いているとか向いてないという言葉をよく聞きますが、そんなものはありません。

新人面接の時に「自分は営業に向いている」と言う人がいました。話を聞いて見ると、「バイトの時に接客が上手かったから」という理由でした。接客も立派な営業だと思いますが、訪問販売の営業と、店に商品を買いに来たり食べに来てくれたりするお客様への営業は基本が違います。また、バイトと正社員でも立場が全く違います。

私は、営業に向き不向きというものはなく、あくまでも個性を大事にした日々の努力、そしてお客様への誠意が「受注」という結果を生むのだと思います。
売りっぱなしで金だけ取って、ユーザーを不幸にするのは営業ではありません。商品とサービスを通して夢と喜びを分かち合い、ユーザー側に何らかの成果を届けるのが営業です。
自分がやっていることに信念をもちましょう。やっていることを信じる気持ちと努力と誠意があれば、経験とともに必ずトップセールスになれます。

2.商品・サービスを、まず自分が一番に愛そう

自分が愛情を持てないものをいくら売り込んでも、お客様から満足した笑顔はもらえません。自分が売る商品・サービスを、まず自分が一番に愛するようになりましょう。
そのためには、どうしたらよいでしょうか。私のオススメは、商品やサービスを紹介するカタログやホームページを一字一句まで読みつくし、自分の言葉で語れるようになることです。
カタログやホームページの作成には、多くの人が関わっています。基本は社員が書くでしょうが、完成までにはコピーライター・デザイナー・イラストレーター・執筆家など多くの人が関わり、構成やイラストやコピーなどを工夫して、最適なものを作り上げていきます。その完成品の内容を理解して自分の言葉でスラスラと語れるようにならなければ、もったいないと思います。

3.笑顔を忘れないようにしよう

最近2週連続で優勝した新人女子プロゴルファーの岩井千怜の笑顔、とてもいいですよね。笑顔を見て嫌な気分になることは、まずないと思います。
先日、松山英樹の専属プロキャディーとしてアメリカを転戦してきた進藤大典さんのお話を聞く機会がありました。言葉も習慣もわからないアメリカでプロとしてやっていくために、「辛いときも、誰に対しても常に笑顔を絶やさずに接してきた」とおっしゃっていました。
初対面でしたが、謙虚な笑顔を絶やさずにお話ししていただき、 あらためて笑顔の大切さを感じました。ぜひ笑顔の練習をして、人と笑顔で接することを習慣にしてください。

4.身だしなみに気を付けよう

笑顔を忘れず、押し売りやリスクを与える営業をせず、「お客様に笑顔になっていただく商品やサービスを営業しているんだ」という信念があれば、それぞれの営業の個性はよい方向に流れ、よい結果を生むと思います。
しかし、第一印象で損をする必要はありません。私が気になる外見を列記すると、髪がボサボサ、ワイシャツがヨレヨレ、もしくは襟がしおれている、シャツが襟元から見えて清潔感がない、歯が汚い、口臭が強い、などです。
髪型はしっかり整えるべきです。油気の無いボサボサ髪の人が本当にいます。なぜ上司が注意をしないのでしょうか。
服装は清潔感が大事です。できればスーツにはアイロンをかけ、靴は磨いて、毎日交換して出社してもらいたいと思います。この辺は訪問する上での最低マナーなので、周りも忠告してあげるべきです。
こうしたことが気になるのは、ほとんどが男性です。会社を代表して訪問営業に行くのですから、身だしなみに気をつけて、きちんとした人間であることを表現してほしいですよね。

一面に広がるひまわりに感動しました。自然のエネルギーに溢れていて、元気が出ます。