【コラム】カクタル社長のつれづれ日記 第8回
広瀬 光哉( 株式会社カクタル 代表取締役社長 )
2022年6月1日(水)

部下のおかげで自分がいるという意識改革を

第5回から7回までは、新人営業から安定した成績が上げられるベテラン営業になるまでの体験や気付きについて書いてきました。今回は、いよいよ大事な人材である部下を持ち、大きな責任を果たさなければならない管理職になってからの気付きについて書いていきたいと思います。

私は営業経験8年目で管理職になりました。その時は本当に嬉しくて、「さあ、皆を引っ張って強い部隊にするぞ!」と意欲に燃えてスタートした記憶があります。

そんな中で、大いに反省した場面があります。

マネージャーになりたての頃、社長が頑張った管理職をねぎらう会がありました。その会食の場で状況報告を求められ、自分の運営について自信満々に答えました。話が終わり、ふと社長の顔見たとき、求められた回答をしていないと言う社長の表情を見て、「自分はまだ管理職になりきっていない、間違っていた」と気付きました。
自分の話ではなく、部下のみんながどれくらい頑張ってくれているかというチームの状況報告をすべきだった、と深く反省しました。
管理職になってまず頭に叩き込むことは、個人営業の時の考え方を捨てて、「メンバーのおかげで今の自分がいる」と意識改革をすることです。

頑張ってくれるチームを作るための心得

では、「みんなのおかげで自分が存在する」と心底思えるチームにするにはどうしたら良いのでしょうか? 
私が考える新任マネージャーの心得を幾つか上げてみます。

部下を生かすためにやるべきこと

1.まずは自己鍛錬して、より健康であること

朝出社したら、一番元気に声を出して「今日も頑張るよ!」と表現しましょう。
深酒をして、二日酔いで不機嫌な顔をして朝のチームをスタートさせるなんて、問題外です。また、体調が悪いと、発する言葉に強さが出ません。気分にムラがあるのも、家で何があったのか知らない部下にとってはいい迷惑です。
自分の健康も管理できない管理職が、部下の体調の変化に気付くわけがありません。マネージメント経験が少ない管理職がメンバー全員を引っ張っていく最初の術は、健康体で明るく出社することです。

2.部下の嫌がる仕事を率先してやること

部下の嫌がる仕事は率先してやりましょう。クレームなどは率先垂範で、同行して解決してあげることです。
また、部下が困っているところを早く見つけ出しましょう。人を増員するか、有効なツールを採用するか、仕組みで解決するか、とにかく起きている課題を明確にし、解決に向けて努力していることを全力で示すことです。

3.強いボスを演じること

強いボスを演じることは必要です。少々自信がない戦略であっても、やると決めたらやり切る力を見せ、失敗したら全責任を取る姿勢を見せましょう。
日々、チームを率いていく中で、責任を取らなければならない場面は多々あります。その時のふるまいを、部下はよく見ています。失敗したら毅然として謝り、全責任を取る姿勢と覚悟が必要です。少しでも他人のせいにしたら、その時点で求心力はなくなります。
上司に対する礼儀と報告の仕方は模範になるべきですが、イエスマンのヒラメの姿は絶対ダメです。ヨイショマンにならないよう、自分に自信を持ちましょう。

4.目標達成への粘り強い姿勢を

管理職に求められているのは、社から与えられた予算・責任項目の中で、到達目標を達成することです。そのために最後の最後まで粘って、やり切る姿勢が大事です。
当然、いつもいつも目標が達成できるわけではありませんが、管理職が粘りの姿勢を身に付けていないと強いチームはできません。

5.究極は母親のようなマネージメント

すべてを通して究極のマネージメントは母親だと思います。深い愛情を持っているので、どんなに叱っても子供はついて来るし、心の底では安心しています。
褒めるときは褒める、叱るときは真剣に叱るという母親のようなマネージメントができたら良いなあ、といつも思っていました。

管理職として涙が止まらなかった思い出

管理職になって、営業時代には経験できなかった感動のシーンを今でも思い出します。
年間の業績を締める最終日、上位のチームと争っていて、その日の業績次第で順位が決まるという局面でした。チーム全員が「火事場の馬鹿力」を発揮してくれて、これでもか、これでもか、と素晴らしい業績、ミラクルな業績を上げてくれたのです。夕方になり、全員がそれぞれ誇らしげに「ただいま!」と帰ってくる顔見て、「ありがとう!」と言いながら涙が止まらなかったことを覚えています。

仕事で涙を流したのは、これが初めてでした。「これが管理職のだいご味か」と、つくづく感じさせてもらった思い出の一日でした。その結果、管理職になって初めて団体賞が取れました。

今回は、部下の顔を直接見ながらのマネージメントの体験と心構えについて書きました。
次回の9回目コラムでは、もう少し大きな部隊を持ち、顔を見ながらの運営はできない局面での気付きなどについて書きたいと思います。

ユーミン ひこうき雲
2022年は松任谷由美デビュー50周年のアニバーサルイヤーです。
ユーミンの全ての曲が私の青春時代そのものでした。