【コラム】社会人として役立った・幼少期・青年期の体験 第2回
広瀬 光哉(カクタル代表取締役社長・営業強化コンサルタント)
2023年5月10日
地元の小さな公立小学校に入学
1回目は幼稚園時代の思い出を書きました。 今回は、小学校低学年の頃のことを書いていきたいと思います。幼稚園は白金のミッション系幼稚園でした。外国人の子供もいて、自分の家庭環境から考えると場違いな場所でしたが、小学校は地元の公立小学校に入学しました。
当時は人口がどんどん増えている時代だったので、クラス数の多い小学校が一般的でしたが、都心にあったせいか各学年2クラスしかない小さな小学校でした。生徒の数が少なかったので、遠足や運動会のこともよく覚えています。
年上の子に負け続けて、負けん気が養われる
コラムのテーマが「社会人になってから役立った幼少期の体験」なので、この視点で、小学校低学年時代を振り返ってみたいと思います。
小学校低学年の頃の遊び相手は、3、4歳年上のおにいちゃんばかりでした。 相撲やおいかけっこ、いろいろなスポーツをおにいちゃんたちと一緒にやっていたので、何をやっても負け、負け、の連続でした。それが悔しく、追いつくまで、何度も挑戦しました。
その毎日が、負けん気を養ったように思います。 前も書きましたが、母親は愚痴っても相手にしてくれない人だったので、 どうしたら年上に追いつくことができるか、自分で考えてがんばっていたことを思い出します。
鍵っ子になって、自分で考えて動くようになる
小学校1年生の時に家庭環境に大きな変化が起きました。母親が働き始めて、鍵っ子になったのです。当時は女性が終日働く職場は少なく、まわりに共稼ぎの家庭は皆無に近かったので、「自分だけなぜ鍵っ子になったんだろう」と思った記憶があります。4歳上の姉がいますが、姉は毎日学校から帰るとバイオリンとピアノのレッスンに通っていて、家にはいませんでした。一人でいて、とにかく寂しかっ記憶が強く残っています。姉は中学からは音楽学校に入って忙しかったので、一緒に遊んだ記憶はほとんどありません。それぞれが家庭を持ち、子育ても終わった今が一番たくさん話をして、仲が良い時かもしれません。
学校から家に帰っても誰もいないので、一人で家にいるのが嫌で、いつも外にいました。友達の家に行くとお母さんがいておやつなど食べていて、うらやましいなあと思いながら、食べ終わるのを外で待っていたことを思い出します。
でも、ここで学んだことがあります。今になって気付くことですが、一人なので何もかも自分で考えていました。学校から帰ったら親が帰ってくるまでどう過ごすか、何をして寂しい時間を忘れるかなどなど、 自分で考えて行動する力が付いたと思います。当然宿題があれば自分の意志ですませていました。翌日の学校の準備をし、学校に着ていくものも用意しました。朝になって慌てた記憶もないし、親から「あれはやったのか、これはすませたのか」などと言われたこともありません。忘れ物をしたとしても、自分の責任だとしか思いませんでした。朝も、親に起してもらう習慣はありませんでした。起きる時間も自己管理していたと思います。「親が起こしてくれなかったので遅れました。すみません」なんていう言い訳は思いつきませんでした。これは大人になったら当然の感覚ですが、子供の頃からすべては自己責任だと思っていました。現在の「諸悪の根源は我にあり」という考え方の土台は、この時にすでに作られていたと思います。
空想の世界で遊ぶ楽しみを知る
寂しさを紛らわすために、空想の世界で遊ぶ習慣も付きました。外を仮想の世界に変えて、暗くなるまで歩いたり、自転車に乗ったりしていました。この時に養われた「想像する力・考える力」は、社会人になって役立っていると思います。
以前のコラムで、営業力を養う方法の一つとして「営業はアーティストであれ」と書きました。営業をどう展開していくかを考えることは、白紙のキャンパスに色を塗っていくことと同じです。空想力を最大限に活かして、アイデア盛り込んで計画を立てていく流れの土台に、この時の「想像する力・考える力」があると思います。
空想を楽しむのが一番好きだった場所
空想が好きだった子供時代を考えると、今でも笑顔になってしまう思い出があります。小学校の近くに工場があって、そこの社長さんが大きな犬を飼っていました。犬小屋もすごく大きくて、中に藁のようなものがフカフカに積まれていていました。その大きな犬小屋に入って、犬と一緒に寝転がっていた記憶があります。
すごく暖かくて、やわらかくて、幸せな気持ちで 空想に浸っていました。この習慣は低学年の間続いていたと思います。一緒にいたのは秋田犬だと思いますが、大きな犬が怖いとも思わず、吠えられた記憶もありません。温和な犬だったのでしょうね。おなかが空いていた記憶もありますが、もちろん餌と水には手を付けませんでしたよ(笑)。
次回はもう少し大きくなってからの変化について書いていきたいと思います。