【コラム】三月ウサギのDX談義 第1回
2023年10月31日

Xはトランスフォーメーションの略、なぜTではないのか?

みなさん、こんにちは。私は長年インターネットの世界に生息している三月ウサギです。ネットの世界は日進月歩と言われるけれど、そこに生きる人間の本質は変わらない気がします。進歩がないと言えるかもしれません。そんな世界を飛び跳ねながら、考えたことを綴っていきたいと思います。

まずは、多くの企業が注目しているDX(ディーエックス)という用語の話。ちょっと前まではITという言葉が大流行でしたが、今はそれがDXに取って代わっています。最初にネット、新聞、本などで「DX」という字面を見て「デラックス」と読んだ人はたくさんいると思います。これは当たり前の話で、「ITからDXへ」などと言われる前は、DXは「デラックス」の略でしたものね。

なので、この用語が使われ始めた頃は「DX(デジタルトランスフォーメーション)」というようにカッコの中に読み方がついていました。

ふーむ、DXとはデジタルトランスフォーメーションの略なのね、と頭に入れると、次に浮かぶ疑問は、「デジタルトランスフォーメーション(Digital Transformation)の略なのに、なぜDTではないのか」ということです。

同じ疑問を持って調べた人も多いと思いますが、私も調べましたよ。英語ではTransformationはX-formationと表記されることが多いそうです。これはラテン語由来の「trans」に「変える」「超える」「交差する」などの意味があり、「交差」を表す「X」が略語として用いられてきたからだそうです。crossがXはわかりやすいけれど、transがXというのは私にはピンときませんが、まあそういう習慣なのでしょう。

DXが広がったのは2008年から

DXという言葉をよく聞くようになったのは、いつ頃でしょうか。ここ10年くらいかなという印象ですが、経済産業省が「DX推進ガイドライン」というものを出したのが2008年なので、この辺りから注目が集まるようになったようです。

ちなみに、このガイドラインに載っているDXの定義は「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」 です。

ふーむ、わかりにくいですが、キーワードは「変革」のようです。ITのようにツールを導入して目先の業務をラクにするのではなく、DXは業務や企業全体、生活や社会全体を変える手段ということでしょうか。「対象が大きいので、手がつけられずに足踏みしている」という会社も多そうです。

今からでも遅くはない、気になった時が始め時

2008年の「DX推進ガイドライン」発表から15年が経っているわけですが、掛け声ばかりで、DXはまだまだ進んでいない、というのが現状ではないでしょうか。大企業に勤めていたら、印象は違うかもしれませんが。

私が「DXはまだこれから」だと思った理由の一つが、数年前に見たCMにあります。上司役の稲垣吾郎がDXをデラックスだと思い込んで「デラックスをやろう」と言い、聞いた部下が訂正できずに戸惑っているというCMです。30秒CMの最後には吾郎くんが「デジタルトランスフォーメンション」と言うようになり、部下は「あっ、直ってる」とつぶやきます。

ネットを検索したら、これは2020年9月にオンエアされた企業CMでした。15年以上前からDX推進が叫ばれながら、3年前のCMでも「デラックスで笑いを取り、興味を引く」という趣向なので、DXに手つかずの企業が今からDXを始めても、決して遅くないと思います。

「何事も気になった時が始め時で、始めてみると色々と知識が深まり、助けてくれる人との縁も生まれる」というのが、私が経験から得た知恵です。DXも、やってみたい、やらなきゃと思っているなら、「始めた者勝ち」だと思います。

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