【コラム】カクタル社長のつれづれ日記 第9回
広瀬 光哉( 株式会社カクタル 代表取締役社長 )
2022年7月4日(月)

社員満足度をアップし、進むべき方向を明確にする

前回のコラムでは、管理職として初めて部下を持った時の体験・心得などを書きました。今回はそこからステップアップして中間管理職になり、管理職の部下を何人か持つ立場、大きな組織全体を任される立場になった時のマネージメントについて書きたいと思います。

初めての管理職の時は、部下の顔をひとりひとり見ながらのマネージメントができましたが、ここからは顔を見てマネージメントができない時代が始まります。その時に何をやるべきでしょうか?

1.任された社員の満足度がアップする組織作りを

まず、任された数十人、数百人の社員の満足度がアップする組織作りから手掛けるべきです。もちろん、ひとりひとりを管理している管理職が付いているわけですから、管理職を飛び越しての指示などは慎むべきです。

大きな組織の中にはいろいろな年代層が存在し、いろいろな職種別のチームが存在します。ヘッドとしてできることは、その環境の中で、男女で満足度の差が無いか、パワハラ・セクハラがないか、不正が発生してないかなどを、会議や会食などを通して把握することです。
社員満足度を把握したら、課題に対してはいち早く手を打つべきです。風通しのよい仕組みも発案して、公表すべきです。

そして、せっかく多くの人材を預かったのですから、総合力アップの策を考え、参加意欲のある組織作りに奔走すべきです。
それには、数多くの会話の場を設けて意見を吸い上げることが重要です。会議は、短くても全員が意見を言える運営、差別のない公平な運営を心がけましょう。明るい組織にすることが大事です。

2.大きなベクトルで、ビジョンを明確に掲げる

多くの社員を預かった責務として、皆を総合力としてまとめ上げ、チームが進むべき方向を明確にすべきです。森と木に例えるなら、木は管理職に任せ、森のビジョンを明確にするべきです。

どんな企業でもそうでしょうが、私が中間管理職で目指した大きなベクトルは、以下の3つです。

  1. ユーザー満足度の向上
  2. 保守などのストックビジネスの向上
  3. 売掛金の回収率向上(売掛金の回収に苦労しているということは、お客様と何らかのトラブルを抱えているということなので、早く解決することが大事です。回収率がよいということは、健全なビジネスができている証です)

この3つを数値化して見せ、これらの向上・強化ができれば、地に深く根を張った真に強い部隊・組織になると訴え続けました。あれもこれも望んでも部下は消化できないので、シンプルな訴えが重要です。

3.すべてを数値化することが必要

明るい運営、ビジョンの訴えなど、言葉でいろいろと言っても、根拠となる数値データがあり、進捗管理がしっかりできてないと、話に迫力がないし、説得力がありません。すべてのデータを数値化しましょう。

どこに問題があるか、何が進捗していて、何が進捗してないか、などのデータを人任せで作ってはダメです。自分で言ったことに責任を持つためにも、数値項目や期間などの設定を自分で考え、魂を入れて自分でデータ管理するべきです。

すべてを数値化

私はいろいろな数値データをエクセルに登録して、色分けをたくさんして、期間ごとのデータの経緯と変化を常に見ていました。
数字は嘘をつきません。傾向値からしっかり判断をして、手を打つべきです。どんぶり勘定はダメです。

実は、私生活でも数値データを作って見るのが大好きで、なんでもデータを作ってしまっています。体調管理に関しては、これまで20年間の体の様々な数値データが記録されていて、66歳の今のデータは46歳の頃のデータとそれほど変化がありません。データを見ながら、しっかりと体調管理をしてきたおかげだと思います。

4.結果が出る会議運営を

会議の運営の仕方は大事です。中間管理職になると、会議の主催者になる場合も多いと思います。充実した結果が出る会議運営は、生産性向上のためにも絶対必要です。

以下は、私が考える会議主催者としての心構えです。

(1)会議時間を明確にし、時間通り終わる

ダラダラと終わりがはっきりしない会議は問題外です。「この会議、いったいいつまでやるんだ?」と思うだけで、参加者の意欲は無くなります。

(2)結論を出して終わる

討議する内容を明確にし、必ず何らかの結論を出して終わりにしましょう。そして、次回の会議の内容も明確にし、準備してもらう項目も明確にして終了させることが重要です。結論の出ない会議はやる意味がありません。

(3)全員が意見を言う運営を心がける

最近はオンライン会議も増えていますが、とにかく全員参加の運営の仕方を考えましょう。
オンラインでは多くの会議に参加できる変わりに、参加しているだけで仕事をしているつもりになっている人が増えているように思います。そんな人にもドンドン意見を言ってもらうような優秀なMC的要素も必要です。加えて、役職上位者が若い人の意見をつぶすような発言、さえぎるような発言をする会議は絶対にダメです。

(4)会議資料作りに多大な時間をかけさせない

会議の資料準備は必要ですが、多大な時間がかかる資料の依頼は慎むべきです。本来、生産性を上げなければならないのに、会議資料作りに多くの時間と神経を使っているようでは意味がありません。会議のための会議になってないかもチェックすべきです。また、資料が多すぎて、その報告会だけになってないかも重要なチェックポイントです。

以上、1つ上の大きな組織の長になり、Face to Faceのマネージメントができなくなった時の体験と心構えを書きました。

大きな組織全体の総合力発揮の進行具合を把握し、部下の管理職のスキルアップにも目を配り、さらに、自分に与えられた大きな職責を全うするのは大変なことだと思います。しかし、大きな組織を動かす醍醐味と充実感は、絶対にあります。ぜひ、このポジションもめざして、若い人にも頑張ってほしいと思います。

次回、営業強化・組織力強化テーマの最終回は、部門長、事業部長として全体を任された体験をもとに、より経営に近づいた職務での心構えについて書いていきたいと思います。

富士山に巨大な入道雲
まだ残雪も見える富士山の山頂付近に、今年の猛暑を予兆するかのような、巨大な入道雲が出現。
いよいよ夏本番です!みなさん、酷暑に負けずに頑張りましょう!