担当者と経営者では「稼働」の意味が違う?
前職で、製造業のお客様の問題解決を担う「専門チーム」を作りました。この専門チームがお客様に問題点をヒアリングしたところ、私たちの会社から生産管理システムを導入したお客様からも、他社から導入したお客様からも、「導入したけれど、うまく活用できていない」という声を聞きました。いたるところで、「困っている、なんとかしたい」と経営者が悩んでいました。
問題を解決すべく、担当者に話を聞くと「稼働している」と言います。しかし、経営者に聞くと、「うまく使えていない」と言います。話を聞くうちに、「システムを導入して稼働する」ということに対する捉え方が、担当者と経営者では違うことがわかりました。
担当者は、実際に業務がシステムで動いていることを「稼働」と捉えています。しかし経営者は、システム導入の目的(例えば、在庫削減や原価低減)ができて初めて「稼働」と捉えているので、それが実現できていないことを、「うまく使えていない」と表現したわけです。
実稼働実現には、導入目的を明確にすることが重要
そこで私は、システムを導入して本稼働が始まることを「稼働」と表現し、システムの導入目的を達成することを「実稼働」と表現して、二つを分けて考えることにしました。なぜなら、生産管理システムのように稼働させるだけでも大変なシステムの場合、ついつい「稼働」をゴールとしてしまい、「実稼働」にまで至らないことが多いからです。「導入目的を達成する実稼働こそが重要である」と肝に銘じるため、私が率いる専門チームは「実稼働主義」を掲げたのです。
それでは、実稼働を実現するためには何が一番重要でしょうか。それは、「導入目的を明確にすること」です。そして次に重要なのが、その目的を「導入に係るすべての関係者に周知徹底すること」です。当たり前のことですが、これが意外にできていないことが多いのです。
導入目的が明確でないと、実稼働までの各導入プロセスでも様々な問題が起こります。一体どんな問題が起きるのかは、次回以降にお伝えしていきます。